今回は朝食でとるべき栄養素と、その栄養素が多く含まれている食材を紹介していきます。
ただし厳密には、「どうなりたいか」という目的によって朝食でとるべき栄養素や食材は変わります。ダイエットをしていてカロリーを抑えたい方と、スポーツをされていて日中のエネルギー代謝を高めたい方では、必要な栄養素は若干違います。
本記事では、広く「健康」を目的としている方に向けて、一般的に推奨されている栄養素と食材をお伝えします。本記事の内容をベースとして、自身の目的に応じてアレンジしながら最適な朝食を見つけていただけると嬉しいです。
INDEX
おすすめ栄養素 ① ブドウ糖
ブドウ糖とはどのような栄養素か?
三大栄養素の1つである炭水化物は、体内に吸収されてエネルギー源になる「糖質」と、消化吸収されずエネルギーにならない「食物繊維」に分けることができます。
糖質を細分化した中に「ブドウ糖」があります。糖質を摂取すると消化吸収され、ブドウ糖に分解されます。ブドウ糖は血管に入り全身に運ばれ、エネルギーの源となります。
なぜ朝食にブドウ糖を取り入れるとよいのか?
脳は、ブドウ糖を唯一のエネルギー源にしています。また、脳は1日中ずっと(寝ている時間も含め)ほぼ一定の速度でブドウ糖を燃焼しています。
そのため、基本的に朝はブドウ糖が不足しています。ブドウ糖が不足すると脳や神経へ栄養が行き届かなくなり、判断力が鈍り、注意力が散漫になります。
また、ブドウ糖が不足すると、筋肉や肝臓の中に蓄えられているグリコーゲンが分解されます。筋肉に蓄えられたグリコーゲンが枯渇すると、体はエネルギー不足になり、筋肉量の低下にもつながります。
ブドウ糖を効率よく摂取できるおすすめの食材
ブドウ糖はドライフルーツを含む果物、ジャムなどの甘味料、ごはんやパンなどの穀類、じゃがいもやさつまいもなどのいも類に多く含まれます。
特にジャムやドライフルーツを含む果物はブドウ糖を多く含みます。果物や甘いものは血糖値の急激な上昇を招くため、摂り過ぎないように注意する必要がありますが、適量であれば朝食におすすめです。
おすすめ栄養素 ② タンパク質
なぜ朝食にタンパク質を取り入れるとよいのか?
三大栄養素の1つであるタンパク質も朝食で摂取できると良いでしょう。
睡眠によりタンパク質の供給が長時間絶たれるため、朝は筋肉が分解されやすい傾向にあります。タンパク質を摂取することで、筋肉が分解されるのを防ぐことができます。
タンパク質の摂取はダイエットをされている方にもおすすめです。タンパク質を消化する過程で分泌されるコレシストキニンやGLP1などのホルモンには、食欲を抑える効果があります。
また、タンパク質は食事をエネルギーに変換する働きがあるため、脂肪燃焼や基礎代謝の維持にもつながります。
タンパク質を効率よく摂取できるおすすめの食材
タンパク質は「肉類」「魚介類」「卵類」「大豆製品」「乳製品」などの食品に多く含まれています。朝食に取り入れやすい食材としては、鶏むね肉、魚、納豆、豆腐、牛乳、ヨーグルトがおすすめです。
特に青魚にはDHAやEPAのような不飽和脂肪酸が含まれているため、朝食に関係なく積極的に摂取することが推奨されています。不飽和脂肪酸は身体の中で合成されない必須脂肪酸であり、食事やサプリメントを通して摂取しなくてはなりません。
また、納豆やヨーグルトなどの発酵食品は身体の調子を整える働きも期待されていて、こちらも日常的に摂取することが推奨されています。
おすすめ栄養素 ③ ビタミン・ミネラル類
なぜ朝食にビタミン・ミネラル類を取り入れるとよいのか?
ビタミンとミネラルはエネルギーにはなりませんが、体調管理や健康維持に欠かせない栄養素です。
しかし、国民健康・栄養調査(平成29年)によると、日本人はビタミンもミネラルも理想値と比較して不足傾向にあり、特に次のような栄養素が不足しているようです。
- ビタミンA、B1、B2、B6、C
- カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛
朝食で必ずビタミンとミネラルをとらなくてはいけない、というわけではないですが、意識して摂取できると良いでしょう。
ビタミンにはどのような効果があるのか?
ビタミンは体内で合成できないため、食品から摂取する必要があります。また、ビタミンにはさまざまな種類があり、その種類によって性質や働きが異なります。
ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン)は、糖質やタンパク質がエネルギー、筋肉、骨、皮膚に変わる際の潤滑油として働きます。
ビタミンA・C・Eは、体内で増えた活性酸素を除去して酸化を抑える抗酸化作用を持つため、加齢による肌の老化や生活習慣病などを予防する効果が期待できます。
ビタミンDは健康な骨を維持するために欠かせない栄養素であり、かつ、免疫機能を調整する働きもあります。
ミネラルにはどのような効果があるのか?
ミネラルは、人間の身体を構成する元素の約4%を占めています。しかし、ビタミンと同様にミネラルも体内で合成されないため、食事から摂取する必要があります。
鉄は全身に酸素を運ぶ役割を担う栄養素です。鉄が不足すると、脳や筋肉に酸素が行き渡らず、思考力や学習能力の低下、筋力低下、疲労感などの症状が引き起こされます。
カルシウム、マグネシウム、亜鉛は丈夫な骨や歯を形成するのに欠かせない栄養素です。また、カルシウムとマグネシウムは心臓の筋肉の収縮作用をサポートするはたらきなどもあります。
ビタミン・ミネラル類を効率よく摂取できるおすすめの食材
ほうれん草とブロッコリーはビタミンもミネラルも含有量が多いため、どちらも特におすすめです。
ですが、栄養素ごとに含有量が多い食材は異なりますので、理想としては自身が不足している栄養素を見極め、その栄養素を多く含む食材を選ぶようにできると良いでしょう。
ビタミンを多く含む食材- ビタミンA : レバー、卵黄、人参
- ビタミンB群 : レバー、魚類、アボカド、ナッツ類
- ビタミンC : アセロラ、ゆず、ピーマン、芽キャベツ
- ビタミンE : モロヘイヤ、かぼちゃ、ナッツ類
- ビタミンD : 魚類、きのこ、卵
- 亜鉛 : 牛肉、牡蠣、納豆
- カルシウム : 牛乳、チーズ、ひじき、水菜
- 鉄 : レバー、しじみ、小松菜
- カリウム : ほうれん草、里芋、バナナ
まとめ
朝食におすすめの栄養素として「ブドウ糖」「タンパク質」「ビタミン・ミネラル類」をご紹介しました。特にブドウ糖とタンパク質は、朝に必ず摂取していただきたい栄養素です。ぜひ意識して朝食を作ってみてください。
参考
・農林水産省|栄養素と食事バランスガイドとの関係
・厚生労働省|平成29年国民健康・栄養調査報告
・株式会社 明治|朝ごはんの大切さについて まずは朝食をとりましょう!