日中の眠気や夜更かしなどの「体内時計の乱れ」を朝食で解決する

【3分でわかる朝食の知識】体内時計と朝食の関係

朝目覚めると、1日の活動に備えて体温や血圧が上がる。活動を終えた夜は体温や血圧が低くなり、自然と眠くなる。

このような生体リズムをコントロールしているのが、身体に備わる「体内時計」というシステムです。

この体内時計が乱れてしまうと、日中まで眠気が続いたり、夜にエネルギー代謝が高まり寝付けなくなったりします。その結果、勉強の集中力低下や仕事の能率低下、心身の健康悪化などにつながります。

体内時計が乱れないようにするには朝食が重要な鍵を握ります。そこで今回は、体内時計と朝食の関係についてお伝えします。

 どのような要因で体内時計が乱れてしまうのか?

体内時計は、脳内にある「主時計」と、臓器や末梢組織各所にある「副時計」の2種類に分かれます。

主時計は光環境により乱れます。明るい環境で夜遅くまで起きたり、夕方以降にスマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトなどの強い光を浴びたりすることが、主時計の乱れにつながります。

副時計は朝食の不摂取により乱れます。朝食をとらないとインスリン(血糖を下げるホルモン)の効率が低くなり、インスリンの量が少ないと自律神経のバランスが乱れ、体内時計の乱れにつながります。

その他にも、食事をとる時間が日によってバラバラだったり、睡眠不足や運動不足が続いたりすることも、体内時計を乱す要因になります。

 体内時計が乱れることで生じるリスクや悪影響

体内時計は次のような役割を担っていると言われています。

  • 自立神経のバランス調節
  • ホルモンの分泌量調節
  • 免疫力の向上


そのため体内時計が乱れると、「肥満」「睡眠障害」「糖尿病」「がん(大腸がん、乳がん、前立腺がん)」「うつ病」などのさまざまな病気を引き起こす恐れがあります。

また、日中にエネルギー代謝が上がらず眠くなることで、学生であれば成績の低下、社会人であれば仕事のパフォーマンス低下にも影響を及ぼします。

 体内時計を整えるにはどうすればよいか?

主時計に関しては、夕方以降にブルーライトなどの強い光をできるかぎり浴びないようにすること、夜は暗く朝は明るくなるように部屋の光加減を調整することが大切です。

また、体内時計はもともと朝日を浴びてから約15時間以上経つと自然と眠くなるようにセットされています。体内時計のサイクルに合わせて就寝時間を決め、就寝1時間前までに入浴して体の深部体温を上げておくこともおすすめです。

副時計に関しては、遅くとも起床後1時間以内(理想は9時頃まで)に朝食をとることが良いとされています。なお、体内時計をリセットできるのは朝だけなので、就寝時間にばらつきが出たとしても、起床時間だけはできるかぎり一定に保てるようにしましょう。

 体内時計をリセットするための朝食のポイント

朝食には体内時計をリセットする力が大きい「インスリンが出やすい食べ物」を選ぶのがおすすめ。

インスリンは血糖値に反応して分泌されるため、血糖値を上げやすい「炭水化物(糖質)」は必ず摂取するようにしましょう。

また、タンパク質や、鮭や鰯などの魚の脂に含まれる「ビタミンK」、野菜や海藻に含まれる「水溶性食物繊維」にも体内時計をリセットする効果があると言われています。

そのため、ご飯(炭水化物)、魚(タンパク質とビタミンK)、具沢山の味噌汁(水溶性食物繊維)という和食の組み合わせは、体内時計を整えるなら最高の朝食と言えます。


参考
・早稲田ウィークリー|ノーベル賞で話題の「体内時計」は「時間栄養学」でコントロール
・鹿屋市|体内時計と朝食の役割
・名古屋大学大学院生命農学研究科 小田裕昭|朝ごはんの効能
・Discover Japan 2023年5月号|美味しい”朝ごはん”があればうまくいく ニッポンの朝食