朝のチョコレートがダイエットの効果を引き上げる

ダイエット中の場合、朝食に甘いものを食べるのは控えたほうが良いとされています。

理由は、朝一番に甘いものを食べると血糖値が急激に上昇してしまい、血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。 インスリンが大量に分泌されると糖が余ってしまい、脂肪として体内に蓄積されてしまうからです。

しかし、ある研究結果によりチョコレートだけは例外だということが明らかになりました。今回の記事では、なぜチョコレートを朝食べることが推奨されているのかについてお伝えします。

 チョコレートに含まれるダイエット促進成分

一般的に「カロリーが高くて太りやすい」というイメージが強いチョコレートですが、実はダイエット効果が期待できる成分がいくつか含まれています。

 カカオポリフェノール

チョコレートはカカオの実から取り出したカカオ豆からできています。カカオ豆にはカカオポリフェノールとよばれる成分が豊富に含まれています。

カカオポリフェノールには血液中のコレステロールの値を下げたり、血行を促進させたりする作用があり、適切に取り入れることで基礎代謝をアップさせる効果が期待できます。

また、脂肪を燃やす働きがあるアディポネクチンの分泌を促す効果もあるとされています。アディポネクチンは体重増加を抑制する効果が強いことから「痩せホルモン」ともよばれています。

 テオプロミン

チョコレートにはカフェインの一種であるテオブロミンも含まれています。テオブロミンはカフェインと似た作用を持つ成分で、海外では医薬品として扱われているほど強力な作用を持ちます。

テオブロミンは心をリラックスさせる効果があり、ストレスを緩和させることで、ダイエットの反動でつい過食してしまうのを防げます。

また、テオブロミンにはカカオポリフェノールの吸収率を高める効果があることも報告されています。カカオポリフェノールの吸収率を向上させることで、ダイエット効果を相乗的に高めることができます。

 カカオバター

チョコレートにはカカオバターも含まれています。カカオバターの特徴は、糖質と比較して血糖値を急激に上昇させないことです。糖質が多く含まれる菓子類よりも、チョコレートを食べたほうが太りにくくなります。

また、カカオバターにはオレイン酸という成分が含まれています。

オレイン酸はオリーブオイルに含まれていることで有名な脂質です。オレイン酸は脂質の中でも酸化の影響を受けにくいという特徴があり、シミやシワの予防アトピー肌の改善といった美容効果も期待できます。

 なぜ朝方にチョコレートを食べると良いのか?

アメリカのブリガム・アンド・ウイメンズ病院とスペインのムルシア大学の共同研究により、朝チョコレートを食べると体の脂肪燃焼が促進されるという結果が出されました。また、空腹時に血糖値を下げる効果もあるそうです。

研究チームのマルタ・ガローレット氏は「カカオに含まれるフラバノールという有益な化学物質が、脂質の酸化を誘発するためではないか」と考えています。

また、夜よりも朝にチョコレートを食べた方が、ストレスホルモンであるコルチゾールの1日の量が比較的低くなるという研究結果も出ています。ダイエット効果だけでなく、ストレスの緩和効果もあることが示唆されています。

ただし、本調査は実験対象者が19人とサンプル数が少なく、かつ実験対象者が閉経後の女性に限られています。すべての人に同様の効果があるとは断定できません。

 チョコレートを購入する際の選定ポイント

 カカオの含有量が多いチョコレートを選ぶ

カカオの含有量が少ないと、比例してチョコレートに含まれるカカオポリフェノールの量も少なくなり、基礎代謝を向上させる効果が低くなってしまいます。

多くのチョコレートはカカオ含有量が30〜40%ほどです。おすすめは高カカオチョコレートとよばれる「カカオ含有量が70%以上」のチョコレートです。

チョコレートを購入する際は、カカオのパーセンテージや「高カカオ」という表示があるかどうかを確認するようにしましょう。

 チョコレート菓子は避ける

チョコレート菓子は糖質や脂質が多く、血糖値が急上昇しやすくなります。

血糖値が急上昇すると、血糖値を下げようとインスリンが分泌されます。インスリンが大量に分泌されると糖が余ってしまい、脂肪として体内に蓄積されます。

また、同様の理由でチョコレートケーキなどのスイーツ系も避けたほうが良いでしょう。チョコレートなら何でもいい、というわけではありません。

 食べすぎないように適量にとどめる

チョコレートの食べ過ぎは体重増加につながるだけではありません。チョコレートに含まれるテオプロミンは、摂取しすぎると強い気管支拡張作用や利尿作用、興奮作用が生じる可能性もあります。

あくまでチョコレートは嗜好品であり、農林水産省の推奨する菓子・嗜好品の目安は1日200kcal以下とされています。チョコレートのカロリーから逆算すると、1日の適量は15〜25gほどになります。

 まとめ

チョコレートによる健康効果はまだ研究段階で、分かっていないことが多いです。ただ、毎朝意識して適量を食べ続けることで、ダイエット効果を実感できるかもしれません。甘いものが食べたくなったときは、チョコレートを手にとってみてはいかがでしょうか。


参考
Timing of chocolate intake affects hunger, substrate oxidation, and microbiota: A randomized controlled trial
High Intake of Chocolate in the Morning Could Help Burn Body Fat, Reduce Blood Glucose Levels
・JGLOBAL|テオブロミンは,ラットにおいてカカオポリフェノールの吸収を高める
・農林水産省|食事バランスガイド
・withus|チョコレートのダイエット効果|美味しく食べて痩せられるって本当?